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広島市中の平和記念公園の敷地内にある原爆ドームは、広島県で最も有名な同公園の見どころです。1996年にユネスコ世界文化遺産にも登録されている原爆ドームは、原爆投下時に広島県産業奨励館と呼ばれており、とてもモダンでおしゃれな建物でした。しかし、現在は原爆により骨組みだけの状態になってしまい、原爆の悲惨さや恐ろしさを象徴する負の世界遺産として登録されています。第二次世界大戦後「つらい記憶を思い出すので取り壊してほしい。」という地元住民の声もありましたが、原爆と言う悲惨で恐ろしい惨状が二度と起こらないようにとの願いを込めて、あえてボロボロな状態で現在まで保存されているのです。ボロボロの壁、むき出しになり折れ曲がった鉄骨が、悲惨な歴史の証人として、これから先も川のほとりに建っているのでしょう。

広島平和記念公園の敷地内にある「広島平和記念資料館」は、今から50年以上前（1945年8月6日）に広島に落とされた原爆の惨劇を伝えるため、世界に平和の大事さと核兵器の断絶を訴えるために、建設されたミュージアムです。日本国内の旅行者だけでなく、外国からも多くの外国人旅行者が訪れる、人気の観光名所になっており、アメリカからの観光客の訪問数は、毎年1位2位を争う「日本における必見スポットベスト10」にも選ばれています。内部には2万点以上の被爆災害資料が展示されていて、主な展示品は広島に落ちた原爆で被害を受けた方の遺留品や、その惨状を再現した被爆人形など多数あり、展示品の中には目を覆いたくなるものも圧倒的な迫力を持って並んでいます。当時の惨状をリアルに想起させるので、見ていて怖くなってしまうかもしれませんが、平和な今を噛みしめるためにも、広島平和記念公園を訪れたら絶対に見て帰るべき資料館です。

広島平和記念公園内には「平和の鐘」が3つあり、いずれも核兵器全廃と恒久平和を世界に伝えるために作られたものです。1つ目は、毎年8月6日の広島平和記念式典で鳴らされる鐘で、2つ目が、毎朝8時15分に鳴らされる鐘で、そして3つ目は、平和公園を訪れた方のために常設されており、自由につくことができる鐘です。広島平和記念公園内にある平和の鐘は、人間国宝である鋳金作家の香取正彦氏が作成したもので、鐘の表面には、国境のない世界地図が浮き彫りにされ、「世界は一つ」を象徴しています。撞座（つきざ）という平和の鐘をつく部分は、原水爆禁止の思いをこめて原子力マークになっており、反対側には、鐘をつく人の己の心を映しだすための鏡が入っています。

水を求めてやまなかった犠牲者を慰めるとともに、核兵器廃絶と世界恒久平和を求めるという意味を込めて、昭和39年（1964年）8月1日に、平和の池の北端にある、平和の灯が点火されました。日本全国12宗派から寄せられた宗教の火と、溶鉱炉などの全国の工場地帯から届けられた産業の火が火種となっています。原爆などの核兵器が地球上から姿を消す日まで燃やし続けようという、反核悲願の象徴となっています。平和の灯の台座は、核廃絶を願って両手首を合わせ、手の平を空に向けた形がイメージされています。

原子爆弾死没者慰霊碑（公式名は広島平和都市記念碑）は、ここに眠る人々の霊を雨露から守りたいという気持ちから、埴輪（はにわ）の家型に設計されました。中央には原子爆弾死没者名簿を納めた石棺が置かれており、石棺の正面には、「安らかに眠って下さい　過ちは繰返しませぬから」と刻まれています。広島平和都市記念碑の碑文の趣旨は、原子爆弾の犠牲者は、単に一国一民族の犠牲者ではなく、人類全体の平和のいしずえとなって祀られており、その原爆の犠牲者に対して反核の平和を誓うのは、全世界の人々でなくてはならないというものです。広島県は、この碑文の趣旨を正確に伝えるため、昭和58年（1983年）に慰霊碑の説明板（日・英）を設置しました。その後、平成20年（2008年）にG8下院議長会議の広島開催を機に多言語（フランス語、ドイツ語、ロシア語、イタリア語、中国語（簡体字）、ハングルを追加）での新たな説明板を設置しました。