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古い建物が並ぶ倉敷美観地区のうち、倉敷川沿いの地区を中心とするエリアになります。重要伝統的建造物群保存地区に指定されているのはこの倉敷川畔周辺エリアです。倉敷川の両岸に柳並木が並び、白壁やなまこ壁の屋敷や蔵が並ぶ風景は、倉敷を代表するもの。江戸時代、倉敷川の水運を使い、綿花などの売り買いで財を成した豪商の蔵や豪邸が並んでいました。明治になると倉敷川の船の通行路という役目がなくなり、水質が悪化しました。柳並木も朽ち果てるなど環境が悪くなりましたが、地元有志の努力で徐々に回復し、現在では美しい景観を維持・保存する活動が活発になりました。現在、古い建物は、飲食店・お土産物店・雑貨店などと変貌を遂げて営業しています。

倉敷川畔地区から北側に位置する本町通周辺エリア。東西に本町通という街道が走っており、通沿いから、その南のエリアまで古い町並が続いています。倉敷川畔エリアは豪商の屋敷・蔵が中心でしたが、本町通周辺エリアは格子戸のある町家がメインの庶民の町です。古民家を改修・改築した飲食店や雑貨店などと、昔から営業を続ける老舗の酒蔵や旅館などが入り交じっているのが特徴的です。また、本町通周辺エリアにある建物の多くは、現在も住民が暮らしています。倉敷川畔エリアの重厚な雰囲気とは一味違った、趣があり、住民の息づかいが聞こえてくる町並を楽しんでみてください。

倉敷美観地区に隣接した、広大な敷地をもつ複合文化施設です。倉敷は江戸時代の大半が江戸幕府直轄領（天領）でしたが、このアイビースクエアの地は、幕府代官が政務の拠点とした倉敷代官所だった場所です。
ツタが絡まる赤レンガの情緒あふれる建物は、明治時代の倉敷紡績所（現在のクラボウ）の工場を改装したもので、日本建設学会賞などを受賞しているほか、2007年には国の「近代化産業遺産」にも認定されています。
アイビースクエアの敷地内には、ホテルやレストランのほか、倉紡記念館、アイビー学館などの文化施設を併設しており、クラシカルな雰囲気の中、ゆったりと観光を楽しめます。他にも陶芸体験などのイベントが開催されたり、夏にはビアガーデンが開かれたりしています。倉敷アイビースクエアは外せない旅行先の一つになりそうですね。

倉敷を基盤に活躍した事業家・大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)が、昭和5（1930）年に開館した日本で最初の西洋美術中心の私立美術館です。1930年当時日本では、本物の西洋絵画を見る機会がほとんどありませんでした。優れた芸術作品を日本でも見られるようにしたいと、画家・児島虎次郎(こじま とらじろう)の強い思いに、事業家である大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)が賛同し大原美術館が開館する運びになったそうです。
洋画家であり、友人でもあった児島虎次郎の業績を記念して設立したもので、展示は虎次郎の絵と、虎次郎が留学先のヨーロッパで買いつけた作品がメインで、現在大原美術館の中核をなしているのは、このとき集められた作品たちだと言われています。モネ、エル・グレコ、岸田劉生など、世界的名画から日本の現代アートまで、ほんとうに素晴らしい作品が展示されています。

阿智神社は、美観地区の北部に聳える鶴形山（つるがたやま）という丘の上に鎮座する神社です。創建は今から約1700年以上前といわれている歴史の古い神社で、かつては美観地区や鶴形山の周囲はすべて海でした。その時に、海の守護、海上交通の安全を祈願する神社として重要視されていたのが阿智神社です。江戸時代になると、財を成した豪商が増えた事もあり、阿智神社もその規模がどんどん拡大していったのです。阿智神社の境内には蓬莱様式としては日本最古の磐座（いわくら）があります。また、日本最大規模の曙藤の藤棚「阿知の藤」もあり、藤の花が咲く4月下旬から5月中旬には、多くの旅行客や見物客でにぎわいます。この為、倉敷市の市花は藤の花となっています。